未来を失いつつあるロシア

 私は国際問題に関しては完全に素人である。したがって今回ロシアに対して語ることは、一般人が単に井戸端会議などで述べているものとして、とらえてほしい。

 さて、ロシアがウクライナに侵攻して、一か月が過ぎた。戦争はロシアが数週間でウクライナを完全制圧すると思われていたが、意外にも大苦戦している。こんな状況が続いているとロシアがどんどん不利になる。このままではロシアはウクライナから撤収せざるを得なくなるかもしれない。

 そうなると、何のために侵攻したんだということになり、プーチン氏の政治責任は逃れようがなくなる。したがってプーチン政権は崩壊するだろう。また、ウクライナへの戦後賠償金も莫大なものになり、ロシアはさらに衰退して、場合によると国家分裂の事態にいたるかもしれない。また西側諸国はロシア国民がプーチン氏を辞めさせない限り、今回の件を決して許してくれないだろう。

 プーチン氏はあくどさはあるが賢い指導者だと思っていたが、こんなに簡単に西側諸国の罠にはまってしまうとは、いったいどうしたんだろう。考えられるのは、あまりにも長期間最高権力者の地位にい続けたのでいわゆる「裸の王様」になってしまったのかとも思う。もう一つは高齢化による判断力の衰えが顕著になってきたのかもしれない。認知症が始まりかけているのかもしれない。

 いずれにせよ、ここまでくるともう後戻りはできない。ロシアが死に物狂いでウクライナを屈服させるか、ロシア国民がプーチン氏を辞めさせて西側諸国に謝罪をするか、どちらかしかない。


 ここでロシアの人々に理解してほしいことは、自分の国ロシアがいかに周辺国から人気がないかを考えてほしいことである。つまり周辺国はロシアなんかと仲良くしても未来はないことを強く感じるので、自然と離反してゆくのだ。その理由を書き出してみる。

 ①高度な民生用産業・技術がない。したがって仲よくしても見返りがない。

 ②人や国が暗くて暴力的なイメージしかない。近隣国を軍事力や核兵器で脅す。集合

  住宅なんかを見ても無機質で潤いがない。

 ③ソ連時代の道理に合わない経済システムや、強権政治でひどい目にあった。

 ④ソ連時代は労働者が主人公の社会を創るという大義名分があったが、現在のロシア

  は、一部の大金持ちが社会の富を独占するひどい格差社会である。

 ⑤カザフスタンは核実験で、ウクライナ原発事故でひどい目にあった。カザフスタ

  ンに作られた核実験場セミパラチンスクでは世界の4分の1の核実験が行われた。

  地元住民の健康被害に対して、ソ連政府はほとんど対策と補償を行なわなかった。

  カザフスタンは近い将来、キリル文字を廃止してラテン文字にするそうである。 

 ⑥強権政治が長く続いた国の常として、人々を魅了するような文化や芸術、エンター

  テインメントが全く育っていない。

 

 プーチン氏の言うスラブ民族ーロシア3兄弟理論などはロシア国民からは支持されても、世界を納得させるような普遍性はない。

 今はもう軍事力の時代ではない。国境線の現状変更や他国の一部地域の独立を画策する動きなどは、平和を乱す行為として国際社会から厳しく糾弾される。

 今回ロシアは完全に悪者になってしまった。ロシアの若い人たちはこんなことをしていたら、ロシアは世界からつまはじきにされ、自分たちの未来を失うことをよく考えてほしい。